【調査報告】特養は、言うほど儲かっているのか?

介護を事業することで、どれだけ儲かるかご存じでしょうか?

興味ありますか?

興味ある方は、言うほどもうかる事業ではないことが分かると思います。

何卒、お付き合いください。

利益率とは何か?

利益率とは介護サービスで収益を得たものから、どれだけ利益が残ったのかという割合です。

会計に詳しい人向けに言えば、「税引前利益率」だと思ってください。

利益率の計算方法は以下のようになります。

1:利益率=利益÷ 介護事業収益
2:利益=介護事業収益ー介護事業費用+介護事業外収益ー介護事業外費用ー特別損失

具体例として、介護老人福祉施設、いわゆる特養を例に進めてまいります。

今回も、令和元年度介護事業経営概況調査結果から調べてみました。

下の画像をご覧ください。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は image-11.png です

平成30年度決算が、厚生労働省が公表している最新versionです(2020.01.25段階)。

この数字は決算額を12で割った数ということなので、月間の数字だと思ってください。

次のページから順々に説明していきます。

Ⅰ介護事業収益

本業の介護サービスでどれだけ売上が立ったのかを示す数字です。

なるべく増やしたいのですが限界がありますのが介護事業収益です。

介護事業収益は、以下の式で成り立ちます。

介護事業収益=介護料収入+保険外の利用料+補助金収入ー介護報酬査定減

介護料収入

介護報酬や加算で得られた、事業所側の売上高です。

保険外の利用料

保険外サービスの収入や、介護保険料以外での収入を指します。

保険外サービスの収入の例としてデイのお泊りや、病院付き添いサービスがあります。

介護保険料以外での収入の例は、食事代、おやつ代、レク費用、住居費などを指します。

補助金収入

介護をはじめとした福祉事業は様々な補助金を国や市町村から受けています。

補助金を受けられるかどうかは死活問題です。

特に設備投資系は、数百万円になることはザラです。

しかも、そんな助成金は国や市町村からの通知すらないこともあります。

だから、目を皿にして探している施設もあるようです。

介護報酬査定減

加算請求した時に誤って多めに請求した場合の修正額だと思ってください。

Ⅱ 介護事業費用

今度は、事業所側で発生する経費を指します。

なるべく減らしたいですが、運営上削れない費用がたくさんあります。

介護事業費用は、以下の式で成り立ちます。

介護事業費用=給与費+減価償却費ー国庫補助金等特別積立金取崩額+その他

給与費

いわゆる人件費です。

職員さんの給料、手当、ボーナス、退職金、職員さん側の社会保険料などが含まれます。

経営者は介護事業費用の中で、給与費の扱いに一番頭を悩ませています。

逆に言えばこの給与費をコントロールできれば、会計上の悩みの半分はクリアできます。

減価償却費

会計をやったことない人にはピンとこない費用だと思います。

こんなイメージだと思ってください。

あなたは会社を経営していて年に216万円利益が上がったとします。

業務用の自動車が壊れたので新車を216万円で買ったとします。

じゃあ、その年の利益はゼロにしていいのでしょうか?

自動車は何年も使いますよね?

ある年だけ自動車の費用をつけて他の年に経費がゼロとすると、正確な経営の実態が分からなくなってしまいます。

そのため、自動車を使う期間(自動車は6年とする)分を割って費用の扱いにします。

これが減価償却費です。

この場合だと、自動車の費用は年に36万円、月に3万円発生したとみなします。

ちなみにソ連は、減価償却費の扱いを間違えたから崩壊したともいわれます。

さて介護事業の場合は自動車の他に、建物、機械浴槽、高価な家電製品などを指します。

国庫補助金等特別積立金取崩額

事業を始める(続ける)際に、補助金を使わないと買うのが無理ゲーなものがあります。

建物や土地とか、億単位の買い物になることもあります。

例えば有料老人ホーム(鉄筋コンクリート)を建てるのに2億3000万円かかるとします。

補助金を1億3800万円もらったとします。

で、建物を使用する期間中分(47年分)が減価償却費として発生することは説明しました。

実は建物のための補助金も期間中分にわけてもらう扱いにすることができます。

これが国庫補助金等特別積立金取崩額です。

この有料老人ホームの場合は、減価償却費が年間500万円発生したことになります。

国庫補助金等特別積立金取崩額も年間300万円もらったことになります。

その他

介護事業を運営するために発生する諸々の経費です。

販売管理費とも言い換えていいと思います。

食材費、水道光熱費、通信費、移動交通費、ごみ処理費用、研修費用など諸々です。

Ⅲ介護事業外収益

介護サービス以外で発生した収入です。

営業外収益と言ってもいいです。

Ⅳ 介護事業外費用

これは、借入金の利息が主ですね。

いわゆる営業外費用です。

で、先ほどの式をあてはめて利益が出るように分かります。

Ⅴ 特別損失

特殊な事態が発生した時に費用として発生します。

火災や紛失がよくあるパターンです。

また、黒字でお金に差し支えなければ、本部に一部資金を回しても良いことになっています。

これが本部費繰入で役員報酬にあてがわれることもあります。

特別養護老人ホームはどれだけ儲かっているのか?

で、今回の表に基づいて、特別養護老人ホームが儲かっているのか確認しました。

以下の表をご覧ください。

金額(千円)
Ⅰ 介護事業収益合計26,723
介護料収入21,031
保険外の利用料5,603
補助金収入91
介護報酬査定減-2
Ⅱ 介護事業費用合計25,986
給与費17,015
減価償却費2,264
国庫補助金等特別積立金取崩額-849
その他7,556
Ⅲ 介護事業外収益借入金補助金収入16
Ⅳ 介護事業外費用借入金利息147
Ⅴ 特別損失本部費繰入127
利益479

1か月特別養護老人ホームを運営すると、479,000円の利益になります。

年に576万円利益が上がるものだと思ってください。

ちなみに月間2,672万円収益(売上)が立って、48万円しか残らないということです。

利益率は、1.8%です・・・。

では、ヨソの介護のサービスとくらべてどうなのでしょうか?

実は、介護事業全体の利益率は3.1%となっています。

特養は、平均介護サービスよりも儲かっていないということになります。

特養は他の産業と比べて儲かっているのか?

では、特養は事業全体として儲かっている部類なのでしょうか?

国の資料では利益率を比較した資料がないので、すぐには比較できません。

代わりに経常利益で比較することは可能です。

経常利益とは本業による損益(営業損失)に、本業以外の損益を加えた利益を言います。

全産業平均の経常利益率(平成29年度)は5.5%です。

参考資料:平成30年企業活動基本調査速報-平成29年度実績-

特養の場合はどうでしょうか?

経常利益率をこのように計算いたします。

1:利益率=経常利益÷ 介護事業収益
2:経常利益=介護事業収益ー介護事業費用+介護事業外収益ー介護事業外費用

そうなると、特別養護老人ホームの経常利益は606,000円となります。

経常利益率は、2.8%となります。

つまり全産業の平均以下なんです。

ちなみに、サービス業だけの経常利益率は6.9%です。

だから、特養は儲かる事業にはなっていないのです。

ま、そうだからこそ、法人税が免除されたりいろいろ優遇されているんですけどね。

福祉介護は公共財だから儲けすぎるなということなのでしょうか?

では?他の介護サービスは儲かっているのか?

まだまだ検証する必要があるようです。

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